【カナタ電話第2巻第1号】
キーワード:이에요 か 이예요 か,指定詞の略待上称
Q:(第2巻第1号:1992年春)「그 사람이에요」と「그 사람이예요」のうち、どちらが正しいですか?
A:現代ハングル綴字法では、'ㅣ'母音同化(前の'ㅣ'の影響で後にくる母音'ㅏ, ㅓ'等が'ㅑ, ㅕ'と発音される現象)を表記に反映しないことを原則としています。'이예요'は'-이에요'の'에'が前の母音'이'に影響を受けて'예'と発音されたものなので,これを発音どおりに書くのは間違いであり、この場合には'-이에요'と書かなければなりません。
'-이에요'と同じ働きをするものに'-이어요'があります。現代標準語規定では、この2つをどちらも標準語と認定しているので、どちらを使ってもかまいません。ただし辞書の解説「パッチムがある体言に付いて親近感を込め、愛想よく事物を肯定的に断定したり、指定して尋ねる終結形叙述格助詞」(金星版国語大辞典)に見るように、'-이에요'、'-이어요'は主に子音の後でだけ使用し、母音の後(パッチムがない体言)では一般に'-예요'、'-여요'が使用されます。'-예요'、'여요'は'-이에요'、'이어요'の'이'と'에'、'이'と'어'が縮約されたもので、現行ハングル綴字法規定「'ㅣ'の後に'-어'がきて'ㅕ'と縮める時には、縮めたまま記す」(第36項)により、'-예요'、'-여요'と記すのです。どのような理由からか、母音の後では一般的に'-이에요'が'-예요'と縮約されるため(必ずしもそうであるとは限りません。'-이어요'は母音の後で使用されることもあります)、もともとは'-이예요'が正しいものではないかと混同されやすいのですが'-이예요'は間違った表記です。
もう一度整理すると、母音の後では'-예요'、'-여요'を使い、子音の後では'-이에요'、'이어요'を使うのが正しいです。
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キーワード:부치다 と 붙이다 の違いについて
Q:(第2巻第1号:1992年春)「부치다」と「붙이다」の区別がよくできません。それぞれどのような違いを持っているのか知りたいです。
A:「부치다」と「붙이다」を正確に区別して使用するのはたやすいことではありません。「붙이다」は「붙다」に使役の意味を加える派生接辞「-이-」が結合した単語であり、「부치다」もやはり歴史的には「붙이다」と起源が同じだからです。しかし現行ハングル綴字法第22項ただし書き条項には、動詞の語幹に「-이-」が付いて成立した単語は、原則的に区別して記すが、「도리다、드리다、바치다」等のように本来の意味から遠くなったものは、音どおりに記すと規定しています。従って、「부치다」は「@力が足りない。(例)힘이 부치는 일이다.(力に余る仕事だ)A風を起こす。(例)부채를 부치다.(うちわを扇ぐ)B人に頼んで手紙や物を送る。(例)소포를 부치다(小包を送る)C違う場所や機会に譲り渡す。(例)회의에 부치다.(会議に付す), 인쇄에 부치다(印刷に回す)D何らかの待遇をすることにする。(例)불문에 부치다.(不問に付す)E心情を託す。(例)밝은 달에 부쳐 읊은 시조.(明るい月に寄せて詠んだ時調)F田畑を手入れして農業をする。(例)밭을 부치다.(畑を耕す)Gフライパンに油をひいてピンデトックのようなものを作る。(例)빈대떡을 부친다.(ピンデトックを焼く)H身体や食事などを依託する。(例)몸 부칠 곳이 없다.(身を寄せるところがない)」の意味で使われ、「붙다」との意味上の関連性が希薄であると判断されるときにのみ使用されます。
「붙이다」は「붙다」の意味が維持される場合、例を挙げると「@우표를 붙인다.(切手を貼る)A책상을 벽에 붙인다.(机を壁に付ける)B흥정을 붙인다.(仲立ちをする)C접을 붙인다.(接ぎ木をする)D불을 붙인다.(火をつける)E감시원을 붙인다.(監視員をつける)F싸움을 붙인다.(喧嘩をさせる)G내기에 100원을 붙인다.(賭けに100ウォンを賭ける)H말을 밭에 붙인다.(馬を畑でつがわせる)I조건을 붙인다.(条件をつける)J취미를 붙인다.(趣味にする)K별명을 붙인다.(あだ名をつける)」の場合に使用されます。これらはみな(1)「NP1とNP2をV」や(BCF)、(2)「NP1にNP2をV」(@ADEGHIJK)の構成を示します。(1)構成の例は、NP1とNP2が付く対象になるという共通点を、(2)構成の例はNP1が具体的な場所(処所性)を表し、NP2がそこにつく対象になるという共通点を持っています。従って、「붙다」の意味が残っているため、語源をはっきりさせて「붙이다」と記すのです。「부치다」のうち、CDEGもこれと同じ構成を持ちますが、NP1やNP2の性格と関係が上と同じではありません。従って、この場合は「붙다」の意味が維持されていないと判断されることから、「부치다」と書くのです。
このうち、「부치다」のHは「붙이다」と書いてきたのですが、現行綴字法で新しく変更したものなので、特に注意しなくてはなりません。
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キーワード:同義反復,포회촌 마을 は改めるべきか
Q:(第2巻第1号:1992年春)私たちの村の入り口に、「포회촌 마을」という石の標識があります。「浦會村 마을」は「浦會村」の「村」と「마을」が重複しているようです。このような重複した表現以外に違う表現があるとすれば、どのようなものが適当でしょうか?
A:「妻家」、「駅前」の「家」、「前」は、それぞれ「집,앞」を意味する漢字であるにもかかわらず、以前から「妻家집」、「駅前앞」式の余分に意味を表す言葉が通用しています。ご質問の「浦會村 마을」も「村」が「마을」を意味する漢字ということを認識できずに使っている点から、上の例と同じ表現といえます。
国語の語彙体系に入ってきている漢字語は、正確に使うことが望ましいため、「포회촌 마을」式の表現よりは、「포회촌」や 「포회 마을」と表現するのが正しい表現であるといえます。しかしながら、漢字語である「村」よりは、固有語「마을」を使うほうがより好ましいです。「포회 마을」をお勧めします。
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キーワード:縮約語の活用について,내딛었습니다 は正しい表現か
Q:(第2巻第1号:1992年春)「한 발을 내딛었습니다.(一歩を踏み出しました)」の「내딛었습니다」は正しい表現ですか?間違っているとすれば、その理由は何ですか?
A: 表記するときは標準語として認定された形態でしなくてはなりません。標準語規定では縮約語のみを標準語としたもの(第14項)、基本形のみを標準語としたもの(第15項)、基本形と縮約語を両方とも標準語としたもの(第16項)があります。「내디디다」の縮約語である「내딛다」は標準語規定に関連単語として載ってはいません。しかし「ハングル綴字法」第32項「単語の最後の母音が縮約して子音だけ残ったものは、その前の音節にパッチムとして記す」という規定の関連単語として、基本形「가지고, 가지지, 디디고, 디디지」に対して、縮約語「갖고, 갖지, 딛고, 딛지」があります。これはたとえ標準語規定の関連単語からは抜け落ちていたとしても、「디디다」の縮約語である「딛다」も基本形と同じく標準語と認定したものとみなすことができます。このことから類推して、「내디디다」の縮約語である「내딛다」も標準語と認定することができます。
縮約語が標準語として認定されれば、縮約語の活用形を使ってもかまいません。標準語規定第16項「縮約語が同じように広く使われ、縮約語の効用がはっきりと認識されるものは、2つとも標準語とする」という規定の下に「머무르다/머물다(止まる、とどまる),서두르다/서둘다(急ぐ、あせる),서투르다/서툴다(下手だ)」を標準語としています。従って,子音語尾の前では、「머물고, 서둘지, 서툴며」のような活用形を使うことができます。しかし、母音語尾が連結される活用形は認定されておらず(第16項備考)、「*머물어, *서둘어서, *서툴었다」と表記することはできません。「머물러, 서둘러서, 서툴렀다」のように書かなければならないのです。このような制限は、「가지다」の縮約語「갖다」の母音語尾の活用形「갖아, 갖아라」等が成立しない現象から類推したものです(標準語規定解説書参照)。
「내딛다」も上の例と同じ種類とみなせるので、子音語尾が連結するときは「내딛고」のように使えますが、母音語尾が連結する活用形「내딛었습니다」は認定するのが困難です。基本形の活用形である「내디디었습니다」または「내디뎠습니다」を使うのが望ましいです。
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キーワード:「新米」の綴り字について,햇쌀 か 햅쌀か
Q:(第2巻第1号:1992年春)その年に作った稲を秋に始めて収穫して得た米を言う言葉として、「햇쌀」が正しいですか、それとも「햅쌀」が正しいですか?
A: 結論から申し上げると、この場合、その年に新たにできた米として、「묵은(古米)」に対応して使われる言葉は、「햅쌀(新米)」が正しいです。しかし、名詞の前について「その年に新たにできた」という意味を加える接頭辞として「햇−」という語があります。例を挙げると、「햇-곡식(新穀)」や「햇-과일(その年に新たにとれた果物)」,「햇-누룩(新小麦で醗酵させた麹)」等が、接頭辞「햇−」が付いてつくられた言葉です。この接頭辞「햇−」は、もともと「해−」に間音が添加された形態です。これは複合名詞をつくる時、一定の条件下で間音が入り込む現象であるといえます。このような脈絡から考えてみると、「햇쌀」が正しい語形であるものと考えることもできそうですが、これには歴史的な問題が介入しています。すなわち「쌀」は、中世国語期に初声として「ㅄ」(「ㅂ」と「ㅅ」それぞれその音価どおりに音が出ていたものと思われます)を持っていたため、接頭辞「해−」と合わさって「햅살」になったのが、閉鎖音の次に生じる自動的な濃音化現象のため、「햅쌀」になったのです。
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キーワード:中黒の用法について,句読点の使い方
Q:(第2巻第1号:1992年春)文章符号のうち、中黒はどのような場合に使われるのか、その用法について知りたいです。
A: 中黒は、列挙されたそれぞれの単位が、対等で密接な関係を結んでいる時に使用されます。さらに細かく分けると、次のようになります。
1.コンマで列挙された語句が、さらに多くの単位に分けられる時に使います。下の例文において、中黒の前の2人と後の2人がお互いに密接な関係であることを表すようになります。
(例)영이・지현이,정희・주옥이がそれぞれ同じ組になってボール遊びをした。
2.特定の意味を持つ言葉を表す数字に使います。
(例)3・1運動
3.同じ系列の単語間に使います。やはり2つの単語が密接な関係を結んでいるものと考えられます。
(例)忠北・忠南をあわせて忠清道という。
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