【カナタ電話第6巻第3号】

キーワード:헌인릉の正しい表記

Q:(第6巻第3号:1996年秋) 文化財管理局が管理している陵・墓それぞれの道路側入り口に観覧客の為の案内板が設置されてますが、その中に 「헌인릉」 について一部の観覧客が陵が1つであるかのように誤った認識をしかねないとか、表記が間違っているという問い合わせが寄せられるという例があります。これについての表記は 「헌릉인릉, 헌인릉」 そして現行の 「헌인릉」 という3つの表記方法がありえますが、どれが最もふさわしいでしょうか? (文化財管理局)
A: 結論から言うと、 「헌인릉」 の表記は、現行の表記を存続させるのが望ましいと思います。原則的に地名は1単語で構成されます。ですから、 「헌릉인릉」 は2単語で構成されており、またこれが「・」で繋がれているので不自然です。 「인릉」 は、 造語法上「헌릉인릉」 よりもさらに安定性のない形態です。意味は同じだと言えるかもしれませんが、 「 なのか 「헌릉인릉」 なのかの区別がつきません。そして先ほど指摘したように、1単語であるのに「・」が付くというのが欠点です。これに比べて 「헌인릉」 は、今まで使われてきた表記であり、造語法の上で最も安定した状態であると同時に、1単語の形態をとっています。観覧客が陵が1つであるかのように思う可能性があるという事は重要ではないと思います。 「정릉, 서오릉, 태강릉, 선정릉, 동구릉, 서삼릉」 などの陵に関しても、どうせ陵の名前だけではその被葬者を知る事はできませんし、それが1つの陵であるのか、2つの陵であるのかを知るという事に大きな意味があるようには思えません。
 
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キーワード:선릉 の正しい発音

Q:(第6巻第3号:1996年秋) 現在、地下鉄2号線 「선릉역」 の車内案内放送を [설릉] という発音で放送していますが、一部の利用客から [선능] と発音すべきだという指摘があり混乱をもたらしています。どう発音するのが正しいのですか? (ソウル特別市地下鉄公社)
A: 「선릉」の標準発音は [설릉] が正しいです。文教部告示第88-2号(1988.9.19)で示された標準語規定の標準発音法第20項には、 「」 は 「」 の前や後ろで [] と発音するとし、「난로, 실라, 천리, 광한루, 대관령, 칼날, 물날리」 などの例を挙げてます。そして但し書きとして、 「줄넘기, 의견란, 임진란」 などのいくつかの単語は 「」 を [] と発音するとしています。従って,「」 は [ㄹㄹ] と発音するのが大原則です。 「선릉」 を [선능] と発音すべきだという主張は、一部の人達の言葉の使用実態を反映しているものと思われますが、あらゆる人々がそのように発音しているとは考えられません。「태릉, 사오릉」 を [태능, 사오능] と発音する人が居るからといって、これを標準発音と見なすことはできないのです。従って、「선릉」 の標準発音は [설릉] しかあり得ません。
 
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キーワード:固有名詞分かち書きの原則について

Q:(第6巻第3号:1996年秋) ハングル正書法第49項によると、「姓名以外の固有名詞は単語ごとに分かち書きする事を原則とするが、単位別に分かち書きをする事もある」となっていますが、第49項の解説では、「この時の固有名詞はあらゆる固有名詞を指すものではなく、ある体系を持つ構造物を指す固有名詞だけを指す」となっており,紛らわしいです。第49項の内容についての正確な解説をお願いします。
A: 第49項で規定している固有名詞は、あらゆる固有名詞を指すものではなく、ある体系を持つ構造物を指している固有名詞(正しくは固有名詞句)だけを指していると見るべきです。
 まず、本文と解説に提示されている例が、すべてある体系を持つ構造物を指している固有名詞です。解説によると、本文で言及した“単位”は、ある体系を持つ構造物においてそれぞれ1つの独立した指示対象物と把握されるものを意味している為です。例えば、 「서울 대학교 인문 대학 국어 국문학과」 は、 「서울 대학교 / 인문 대학 / 국어 국문학과」 という3つの単位に分けられ、 「한국 상업 은행 재동 지점 대부계」 は、 「한국 상업 은행 / 재동 지점 / 대부계」 という3つの単位に分けられるので、それぞれ 「서울대학교 인문대학 국어국문학과」 と、 「한국상업은행 재동지점 대부계」 と分かち書きできるというものです。
 第2に、本文で言及した対象が解説で具体化された例が他にもあります。ハングル正書法第47項によると、「補助用言は分かち書きする事を原則としているが、場合によっては分かち書きしない事も認める」となっていますが、解説によると、この場合の補助用言はあらゆる補助用言を指すものではなく、 「-아/-어」 の後ろに続く補助用言と,依存名詞に 「-하다」 や 「-싶다」 が付いてできた補助用言だけを指します。したがって、第49項の本文の内容を解説で具体化した事は、さほど特異だとは思えません。
 しかし、ハングル正書法には我々の解釈に合わない規定もあるので注意する必要があります。ハングル正書法第11項の[付則 5]には、「2つ以上の単語からなる固有名詞を分かち書きしない場合や10進法に従って書く数字も[付則 4]に準じて記す」という規定がありますが、この場合の固有名詞は、ある体系を持つ構造物を指す固有名詞に限定されないという問題があります。この規定が適用された例として提示された 「서울여관, 신흫이발관」 のたぐいは,どちらもある体系を持つ構造物を指すと見なす事が出来ない為です。したがって、第49項で言及された固有名詞の範囲と第11項で言及された固有名詞の範囲が一致していないと解釈できます。
 ところで,もしも第49項の内容があらゆる固有名詞を対象としたものであれば、 「우랄 산맥」 などの地名もすべて分かち書きをしない事が認められなければなりませんが、これは受け入れがたいものです。まず、 「우랄 산맥」 がある“単位”をあらわしていると考え難く、第2に外来語表記法第4章第3節第1項を準用すると分かち書きするようになっている為です。(外来語表記法第4章第3節第1項の内容は下の質疑応答を参照)
 このように、2つの規定(第49項と第11項)が互いに矛盾しているように思われる時には、どちらの規定が上位の規定なのかを判断するのが重要です。第49項は“第5章 分かち書き”に属する項目であり、第11項は“第3章 音に関すること”に属する項目である点から、私達は第49項とその解説の内容を上位の規定と判断し、これを標準としようと思います。
 第49項は、あらゆる固有名詞の分かち書きに視点をおいたものではなく、 「서울 대학교 인문 대학 국어 국문학과」 や、 「한국 방송 공사 경영 기획 본부 경영 평가실 경영 평가 분석부」 などの分かち書きに主たる関心を置いたものと思います。(実際、これらの例は典型的な固有名詞であると言い難い例です。) 第49項の趣旨は、このように複雑な組織や機構を指す場合に,単語ごとに分かち書きをしようとすると、それが1つの対象として把握できない欠点があり、 「서울대학교 인문대학 국어국문학과」 や、 「한국방송공사 경영기획본부 경영평가실 경영평가분석부」 と分かち書きできるようにしようという事であると思われます。
 
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キーワード:밟으오밟소 か, 하오

Q:(第6巻第3号:1996年秋) 標準語発音法第7項の解説では、 「밟으오」 という形態を提示し、標準発音法第10項の本文では 「밟소」 という形を挙げていますが、どちらも正しいのですか? さもなければどちらの形が標準なのですか? また、第12項と第25項でも 「훑소, 닿소, 많소, 싫소」 などを挙げておきながら、第7項の解説には 「안으오, 물으오, 미우오」 という形を挙げていますが、この2つの形態はどちらも正しいのですか? さもなければ、どちらの形が標準なのでしょうか?
A: 韓国語で 「하오」 で待遇すべきところに使われる 「-오」 と 「-소」 は、 「밟으오, 밟소」 のように、やみくもに換えて使う事ができるものではなく、使われるのには一定の区別があります。
 疑問や平叙をあらわす 「하오体」 の語尾は、パッチムがない用言の語幹や 「」 パッチムで終わる用言の語幹の後では 「-오」 形式で現れ,それ以外のパッチムのある用言語幹の後では 「-소」 形式で現れます[例 : 먹소 (← - + - )、 가오- + - )]。
 そして、命令をあらわす 「하오」 体の語尾は、パッチムがない用言の語幹や 「」 パッチムで終わる用言の語幹の後では 「-오」 の形式で現れ,それ以外のパッチムのある用言語幹の後では 「-으오」 形式で現れます[例 : 먹으오 ( ← - + -으오 )、 가오 ( ← - + -가오 )]。ですから、ご質問の形がすべて疑問や平叙をあらわした場合ならば、 「밟소, 훑소, 닿소, 많소, 싫소, 안소, 묻소, 밉소」 とならねばならず、これらが命令をあらわしている場合なら、 「밟으오, 훑으오, 닿으오, *많으오, *싫으오, 안으오, 물으오, *미우오」 としなければなりません。 ところが、形容詞の 「많다, 싫다, 밉다」 は命令をあらわす 「-으오」 が付くことはできないので、 「많소, 싫소, 밉소」 だけを正しい語形と見なさなければなりません。
 このような点から、ハングル正書法第18項の内容も少し修正する必要があると思います。第18項に挙げられていた 「그럽니다, 까맙니다」 などは、1994年12月16日に開かれた国語審議会で削除することにしました。これは、 「」 パッチムで終わる用言の語幹やパッチムがない用言の語幹の後では 「-ㅂ니다」 が使われ、その他のパッチムがある用言の語幹の後では 「-습니다」 が使われるという標準語規定第17項の内容と相いれなかった為です。 「그렇다, 까맣다」 はどちらも 「」 以外のパッチムがある用言に該当するので 「습니다」 が付かなければなりませんが、 「그럽니다, 까맙니다
は 「그렇-, 까맣-」 に 「-ㅂ니다」 が結合した形であるので間違いになるからです。
 同様に、ハングル正書法第18項の 「그러오, 까마오」 も、やはり削除すべきだと思われます。 「그렇다, 까맣다」 は、 「」 以外のパッチムがある用言の語幹に該当する形容詞なので、これに 「하게」 で待遇すべきところで使われる平叙や疑問の語尾が付いた形は、 「그러오 ( ← 그렇- + - )、 까마오 ( ← 까맣- + - )」 ではなくて,「그렇소 ( ← 그렇- + - )、 까맣소 ( ← 까맣- + - )」 でなければならない為です。
【注】原文では 「그러오, 까마오」 となっていますが,油谷の責任で上記のように改めました。
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キーワード:外来語の使用実態,韓国,北朝鮮

Q:(第6巻第3号:1996年秋) 韓国と北朝鮮の外来語の使用実態を知りたいです。特に、多く使われる外来語が何であるかを知りたいです。
A: 韓国・北朝鮮で使われている外来語を,国語の教科書を中心に調べて見る事にします。ここで韓国・北朝鮮の小・中・高の国語の教科書を調査対象にしたのは、国語科教育が母語を正しく身に付け、日常の言語生活を円滑にし人格を形成しながら、国民文化の伝承・創造と国語改善に貢献する教育であるからです。
 韓国の国語教科書に使用されていた外来語の数は266単語で、北朝鮮の129単語に比べ2倍を少し越えます。そして高い頻度で使用されていた外来語を33位まで見ると、韓国の国語教科書には、情報・娯楽・通信とスポーツ関連の外来語が多く使用されている事が分かります。すなわち,情報・娯楽・通信関連の単語として、‘텔레비전, 라디오, 컴퓨터, 비디오’ などがあり、スポーツ関連の単語としては‘스케이트, 서울올림픽, 장애인올림픽, 올림픽’ などが挙げられます。
 北朝鮮の国語教科書で高い頻度で使用されていた外来語数の順位を33位まで見ると、軍事関連用語と機器や建造・生産関連の用語が多く使用されている事が分かります。軍事関連用語として、‘땅크, 빨찌산, 삐라’ などがあり、機器や建造・生産関連の用語として、‘톤, 뜨락또르, 세멘트, 아빠트, 불도젤, 콘베아’ などが挙げられます。
 次に挙げたのは、南北の教科書で使用されている外来語の頻度50前後と、1990年代の南北の新聞・雑誌を対象に調査した結果(‘漢字・外来語の使用実態調査’,1991・1992、‘北朝鮮の漢字語・外来語の使用実態調査’,1993,国立国語研究院を参照)を示した表です。
現時点では表は省略します(油谷)
 
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