【カナタ電話第10巻第1号】

キーワード:꽃아 の正しい発音は,単語間の連音化

Q:(第10巻第1号:2000年春)「꽃」に呼格助詞「아」を付けて発音するとき[꼬차],[꼬다]、[꼬사]のうちのどれが正しい発音ですか?
A: 呼格助詞「아」は目上でない人を呼ぶときに主に使う言葉なので普通は「꽃아」という言葉を使うことはなく、使うとすれば擬人化して呼ぶときにでも使うでしょう。普通は使わない言葉なので,この言葉がどのように発音されるのかを確認するのは困難であり、意図的に発音すると3つの発音がすべて正しいようにも見られます。
 説明の便宜上[꼬다]から調べてみましょう。[꼬다]「꽃」が単独で発音されるときのように、つまり代表音で発音されるときのように[꼳]となり、これに[ㅏ]が結合した発音と解釈されます。これと類似した例は韓国語でたやすく見出すことができ「標準発音法」にも規定があります。

 第15項 パッチムの後に母音「ㅏ, ㅓ, ㅗ, ㅜ, ㅟ」で始まる実質形態素が連結される場合には,代表音に変えて後続の音節の初声として連音化して発音する。
   밭 아래 [바다래] (畑の下),  늪 앞 [느밥] (沼の前)
   젖어미 [저더미] (乳母), 맛 없다 [마덥다] (まずい)
   겉옷 [거돋] (上着), 헛웃음 [허두슴] (作り笑い)
   꽃 위 [꼬뒤] (花の上)

 [附則] 重パッチムの場合にはそのうちの1つのみを連音化して発音する。
   넋 없다 [너겁다] (われを忘れる), 닭 앞에 [다가페] (鶏の前に)
   값어치 [가버치] (値打ち), 값있는 [가빈는] (貴重な)

 「꽃아」が規定に定められた条件を充たすならば [꼬다] と発音してもよいでしょう。上記の規定で提示されている条件は、パッチムの後に母音が来なければならないということと、その母音は実質形態素でなければならないということです。「꽃아」はパッチムとして「ㅊ」があり、後に母音「ㅏ」が来るので最初の条件を充たします。ところが2番目の条件つまり実質形態素でなければならないという条件を充たしていません。ですから [꼬다] という発音は正しい発音ということはできません。多少異なる例ですが「쫓아가다」(追って行く)を [쪼다가다] と発音しないのと同様です。また「꽃이, 꽃을」のように他の助詞が結合した例でも [꼬디, 꼬들] と言う人はいません。
  [꼬디, 꼬들] よりも [꼬다] があまり不自然でなく感じられるのは、呼格助詞「아」が他の助詞や語尾とは多少異なる特性を示すのと無関係ではないように思われます。中世韓国語において母音で始まる助詞や語尾は母音調和によって選択される対のある場合が多かったのです。助詞の「/은」,「/을」,語尾の「-아/-어」を例にあげることができます。後の時代に母音調和が弱くなって対のなくなった場合が多いですが、「잡아/먹어」のように語尾「-아/-어」は現韓代国語でも母音調和を守っています。ところが中世韓国語において呼格助詞「아」は語尾「-아/-어」と外形上同一な姿でありながら「」という対がなくつねに「」のみの形で表れて、既に母音調和を守っていませんでしたし,今に至るまで母音調和を守っていません。それで呼格助詞は他の助詞や語尾と異なり、前の語との間に境界があるために対がないものと解釈されたりもしています。境界があるというのはつまり代表音で発音される環境となるという意味です。 [꼬다] があまり不自然でなく感じられる原因をここに求めることができるでしょう。しかし「標準発音法」において呼格助詞の前では代表音で発音されるという例外を認定しなかったので、 [꼬다] は正しい発音といえません。
 次に [꼬사] を調べてみましょう。 [꼬사] は「」が [꼿] となり、これに [아] が結合した発音と解釈されます。「꽃이, 꽃을」をよく [꼬시], [꼬슬] と発音するのと同一の現象です。ところでこれに関する規定をやはり「標準発音法」に見出すことができます。

 第13項 単パッチムや双パッチムが母音で始まる助詞や語尾、接尾辞と結合する場合には、その音価どおりに後の音節の初声に連音化して発音する。

   깍아 [까까](削って), 옷이 [오시] (服が)
   있어 [이써](あって), 낮이 [나지](昼が)
   꽂아 [꼬자](差して), 꽃을 [꼬츨] (花を)
   쫓아 [쪼차](追って), 밭에 [바테](畑に)
   앞으로 [아프로](前へ),  덮이다 [더피다](覆われる)

 上の規定によればパッチムは助詞と結合するとき、その音価どおりに発音されなければなりません。ちょうど例の中に「꽃을」があるので「」は [꽃] 」とならなければならないことがはっきりとわかります。パッチムの「」を [ㅅ] と発音せよという内容がないので、いかに現実的に広く行き渡っている発音だといっても正しい発音と認定できません。同様に「꽃아 」の場合にのみ例外的に [꼿] を認定する理由もないので [꼬사] は正しい発音といえません。[꼬다][꼬사]に比べて[꼬차]は上で言及した問題点のない発音です。したがって「꽃아 」の発音は[꼬차]が正しいといえます。
 
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キーワード:手の指の名称

Q:(第10巻第1号:2000年春) 人の5本の手の指をさす言葉にはどんなものがありますか?
A: 人の手の指をあらわす言葉には固有語「」や「손가락」のつく言葉と漢字語「(指)」のつく言葉、そしてこれらの合成された言葉があり,これを整理すると次のとおりです。

固有語 손(가락) と結合
漢字語(指)と結合
第1指엄지손가락, 엄지손엄지, 대무지(大拇指), 대지(大指)
무지(拇指), 거지(巨指), 벽지(擘指)
第2指집게손가락검지, 두지(頭指), 식지(食指)
염지(鹽指), 인지(人指)
第3指가운뎃손가락, 장짓가락중지(中指), 장지(長指)
第4指약손가락, 약손약지(藥指), 무명지(無名指)
第5指새끼손가락, 새끼손계지(季指), 소지(小指), 수소지(手小指)

 
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キーワード:不確実な事実の実現可能性に対する疑問語尾,-ㄹ는지 -ㄹ런지

Q:(第10巻第1号:2000年春)「언제 없어질런지/는지 저 철조망 (いつ無くなるのか あの鉄条網)」という表現で,どちらが正しい表現でしょうか?
A:없어질는지」が正しいです。上の表現では鉄条網がいつ無くなるのかわからない不確実な事実の実現可能性に対する疑問を表しています。このような意味を表しかつパッチムのない用言とともに使われる語尾は「-ㄹ는지」です。「없어지다」という用言に「-ㄹ는지」を結合すると「없어질는지」となります。このような例は次の文章でも見出すことができます。

  (1)그 사람도 과연 같이 떠날는지.(その人も果たして一緒に発つのだろうか)
  (2)반가운 손님이 내일은 올는지.(うれしいお客が明日は来るのだろうか)

 上の(1)、(2)の文章ではいずれもパッチムのない動詞「떠나다」と「오다」に語尾「-ㄹ는지」を結合して、不確実な事実の実現可能性に対する疑問を表しています。
 これと関連して「-ㄹ는지」と同じ機能を持ちかつパッチムのある用言とともに使われる語尾は「을는지」です。これは次の文章で確認できます。

  (3)그 환자가 내일은 아침을 먹을는지.(その患者は明日は朝食を食べるだろうか)
  (4)그가 다음 작전에서는 그 임무를 맡을는지.(彼は次の作戦ではその任務を引き受けるだろうか)

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キーワード:centuryのハングル表記

Q:(第10巻第1号:2000年春)centuryをハングルではどう書けばよいか知りたいです。
A: 外国で使われている単語をハングルに置き換えて表記するときは,まずその単語が外国語なのか外来語なのかを考えなければなりません。なぜならば置き換えて書こうとする単語が韓国語として固定して広く使われている外来語である場合には「外来語表記法」に従って記せばよいですが,外国語である場合には基準となる「外国語表記法」がないためです。
 ところである単語が外来語であるか外国語であるかを区別するのは難しいです。外国語だった単語も次第に人々が多く使うようになると外来語として定着するためです。特に人名や地名のような固有名詞は外来語と見なすので,ほとんどの外国語の単語が固有名詞として使われるときには「外来語表記法」の適用を受けることになります。
 お尋ねの'century'は,韓国語に「세기(世紀)」という言葉があるのであえてハングルで表記して使用することのない言葉です。しかしこれを固有名詞等の特定の用途に使用しようとする場合には外来語と見なければならないのでハングルに置き換えて記すときには「外来語表記法」に当てはめて記さなければなりません。
 'century'を「外来語表記法」に当てはめて記せば「센추리」となります。'-tu-'の発音がなので「」と書かれるようにも思えますがそうではありません。韓国語では「」や「」のあとでは「」と「」は発音上区別されず,すべて「」で発音されます。それで'juice'も「쥬스」と書かずに「주스」と書くのです。
 
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キーワード:「いいえ」の正しい綴り字,아니오아니요

Q:(第10巻第1号:2000年春)「次の質問に'はい'、'いいえ'で答えてください」のような文章で「」に相対する言葉は「아니오」ですか「아니요」ですか?
A: 「아니요」が正しい表記です。まず「아니오」について調べてみましょう。「아니-」は形容詞「아니다」の語幹であって「ある事実を否定する意味を表す言葉」の意味であり,後に終結形語尾「-오」がついた形態です。この単語は主に文の叙述語としてのみ使われます。これは叙述格助詞「이다
と形容詞「아니다」が語尾活用では同じにふるまうということを示しています。起源的に形容詞「아니다」は名詞「아니」に叙述格助詞「이다」が結合して形成されたものです。(もう少し正確に言えば「아니(名詞)+-(叙述格助詞)」の構造を持っていた言葉が近代韓国語末期に形容詞語幹「아니-」に再構造化されたといえます)。参考として[ハングル正書法]第15項では終結形語尾に使用される語尾は「-오」と記し、連結形語尾に使用される語尾は「-요」と記すように規定しました。
 その反面,「아니-」の後につく「-요」は終結語尾のあと付け加わる助詞で,主に「略待」で応対する場合に使われる終結語尾や一部「等称」で応対する場合に使われる終結語尾の後について聞き手に対する尊敬の意味を示します。もし相手が格式を整えなければならない人であればあまり使われません。「아니요」は上記の質問に見られるように感嘆詞として使われ、「目上の人が尋ねる言葉に否定して答えるときに使う言葉」です。この二つの単語の用例を通じてその使い方を具体的に調べてみましょう。

   아니오:이것은 책이 아니오.(これは本ではありません),
         나는 홍길동이 아니오.(わたしはホン・キルドンではありません)
         그는 나의 보호자가 아니오.(彼は私の保護者ではありません).
   아니요:철수야, 네가 유리창을 깨뜨렸지?(チョルス,お前がガラス窓を壊したんだろう?)
         아니요, 제가 안 그랬어요.(いいえ,わたしは壊していません)
         아니요, 그럴 리가 없어요.(いいえ,そんなはずがありません)
         아니요, 괜찮아요(いいえ,構いません)

 以上で説明した内容を整理すると次のとおりです。

(1) 아니오:叙述語としてだけ使われる。「아니+오」の形態であり,終結形語尾である。
(2) 아니요:「아니+요」の形態で,感嘆詞である。主に「」に対する言葉として使われる。
(3)参考事項
  終結形語尾では「-오」と記し、連結形語尾では「-요」と記す。
    例:이것은 책이오.(これは本です)
      이것은 책이요, 저것은연필이다.(これは本であれは鉛筆です)
  「십시오」の終結形形態ではつねに「-오」と記す。
    例:어서 오십시오.(いらっしゃいませ)
      안녕히 가십시오.(さようならお気をつけて)
  尊敬の意味を表す助詞の場合には文章の最後で「-요」を使う。
    例:어서 가요.(早くお行きなさい)
       잠깐만 기다려요.(ちょっとだけお待ちを)

【注】日本における韓国朝鮮語学では,通常「指定詞」という用語を用いています。(油谷)
 
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キーワード:넙죽넙죽넓죽넓죽

Q:(第10巻第1号:2000年春)「별로 이야기도 하지 않고 술만 주는 대로 ○○○○ 받아 마시다가 금세 취해 버렸다. これといった話もしないで酒ばかり注がれるままに○○○飲んではじきに酔ってしまった。」という表現で,○○○○には「넙죽넙죽」と書かなければなりませんか、あるいは「넓죽넓죽」と書かなければなりませんか?
A: 「넙죽넙죽」が正しい表記です。別の意味では「넓죽넓죽」と表記する場合もありますが,質問された用例では「넙죽넙죽」が適当です。これに関連して「넙죽넙죽」と「넓죽넓죽」について調べてみましょう(「標準国語大辞典」参照)
 「넙죽넙죽」:副詞。@口答えをしたり何かを食べるとき口をぱくっと(너부죽하게)すばやく開けたり閉じたりする様。<例> 주는 대로 넙죽넙죽 받아 먹는다(与えられるままにパクパク食べる)
A身体を床にぱたっと(너부죽하게)伏せてすばやく腹ばいになる様。<例>아낙들은 연반 넙죽넙죽 절을 해 댄다 (女たちはずっとペコペコお辞儀をしつづけた)
B少しもためらったり躊躇せずさっさと行動する様。<例>그는 목소리는 작았지만 넙죽넙죽 할 말은 빠짐없이 했다(彼は声は小さかったがさっさと言うべきことはもれなく言った)

넓죽넓죽:副詞。多くのものがすべて長めで広い様。<例>떡을 넓죽넓죽 썰었다(餅を平たく切った)

 この二つの単語の区分は「넓다(広い)」という意味がその単語に含まれていれば「-」と表記しなければならず、その意味から離れていれば「-」と表記しなければならないということです。それぞれの用例をさらに探してみましょう。

-:넓둥글다(物体の形が平たくて丸い)
   넓적넓적(多くのものが全て平たくて薄くかなり広い様)
   넓적다리(脚の膝関節の上の広い部分)
   넓적부리(カモ科の鳥、くちばしがしゃもじのように広いのが特徴である)
   넓죽이(顔が平たい人をからかい調でいう言葉)
   넓죽하다(長くて広い)

-:넙적거리다(口答えをしたり何かを食べるとき口をすばやく開けたり閉じたりする)
   넙적대다(=넙적거리다
   넙죽(@口答えをしたり何かを食べるとき口を平たくすばやく開閉する様,A身体を床に平たく伏せてすばやく腹ばいになる様,Bためらったり躊躇せずさっさと行動する様)
   넙죽거리다(@口答えをしたり何かを食べるとき口を平たくすばやく開閉する,A身体を床に平たく伏せてすばやく腹ばいになる)
   넙죽대다(=넙죽거리다)

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