【カナタ電話第12巻第2号】

キーワード:単語の使い分け,끼치다미치다

Q:(第12巻第2号:2002年夏)"끼치다" と "미치다" の違いについて知りたいです。たとえば、"아버지의 생활 태도는 나에게 많은 영향을 {미쳤다/끼쳤다}.(父の生活態度は私に多くの影響を及ぼした。)” のような場合には、"미치다"(及ぼす)と "끼치다"(及ぼす)のうち、どちらの言葉を使わなければなりませんか。もしかすると "끼치다" は、否定的な影響を与える場合にだけ使われる言葉ではありませんか。
A:"아버지의 생활 태도는 나에게 많은 영향을 미쳤다." と "아버지의 생활 태도는 나에게 많은 영향을 끼쳤다." はどちらも使用することができます。
 国語辞典に、"미치다" は、「影響や作用等が対象に加えられるまたは、それを加える。」と意味の解説がされており、"끼치다" は、「影響、害、恩恵等を受けたり、受けさせる。」と意味の解説がなされています。したがって "영향을 미치다"(影響を及ぼす)と "영향을 끼치다"(影響を及ぼす)という表現はどちらも可能です。
 "끼치다" が否定的な影響を与える場合にだけ使われるというのは、"끼치다" が、主に "심려를 끼치다"(心配をかける),"불편을 끼치다"(不便をかける),"걱정을 끼치다"(心配をかける)のように、否定的な意味を表す言葉と共に多く使われるためです。それに、このような場合に "끼치다" の代わりに "미치다" を使わないところを見ると、"끼치다" は、否定的な影響を与える場合にだけ使われ、"미치다" は、肯定的な影響を与える場合に使われるのではないかと考えることもできます。しかし、"그가 한국 영화계에 끼친 공로는 엄청나다."(彼が、韓国映画界に及ぼした功労は計り知れない。)のような例文が自然に使われるのを見れば、"끼치다" が否定的な影響を与える場合にのみ使われると断定することは困難です。また、"영향을 미치다"(影響を及ぼす)と "영향을 끼치다"(影響を及ぼす)において、"영향"(影響)という、単語自体に肯定的なものであるのか、否定的なものであるのかを判断する根拠があるわけでもありません。従って、肯定的なのか、否定的なのかという判断によって "미치다" と "끼치다" を区別することはできません。このような点から見るとき、"아버지의 생활 태도는 나에게 많은 영향을 {미쳤다/끼쳤다}"で、"미치다" と "끼치다" は、どちらとも使うことができるといえます。

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キーワード:単語の使い分け,이외

Q:(第12巻第2号:2002年夏)"행사 차량 이외는 출입을 금함."(行事車両以外は出入を禁ずる。)において、下線を引いた "이외"(以外)の代わりに、""(外)を使ってもよいですか。そしてこのときの "이외" は、"이 외에 더 필요한 것은 없다."(この他には必要なものがない。)と言う時の "이 외" とどのように違うのですか。
A:"행사 차량 이외는 출입을 금함."でも"행사 차량 외는 출입을 금함."でもどちらも可能です。
 ここで、"이외"(以外)と ""(外)は、どちらも一定の範囲や限度の外であるという意味がある言葉です。また、使われ方も同じであるため、それぞれ交換して使うことができます。
 ところで、"이외"(以外)と "이, 그, 저"(この、その、あの)の "" と "" が結合した "이 외" を混同することが時々あります。この2つは分かち書きが違います。たとえば、"이 외에 더 필요한 것은 없다."と言うときの "이 외에" は "이것 외에"(このほかに)という意味で、指示代名詞 "" と、依存名詞の ""(外)が結合した場合であるので、離して書かなければなりません。しかし、"이곳은 관계자 이외의 사람이 들어올 수 없습니다."(ここは関係者以外の人は入ることができません。)のような場合には、名詞 "이외"(以外)が使われた場合なので、"" と ""を離して書きません。この2つは次のような違いがあります。

(ア)指示代名詞
【注1】 "" に "" が後続する構成は、文の最初に現れる反面、"이외"(以外)は、常に名詞の次に来る。
(イ)"이 외"は、"" を省略することができないが、"이외" は "" を省略して "" だけを使用しても意味に違いがない。
(ウ)"이 외"の "" の代わりに "이것" を変えて使うことができるが、"이외" の "" は、"이것" に変えて使うことはできない。

下の例文からこのような特徴を確認することができます。

(1)ア.종이와 연필이 준비되었습니다. 이 외에 더 필요한 것이 있습니까?(○)
    (紙と鉛筆が準備されています。このほかにもっと必要なものはありますか。)
   イ.종이와 연필이 준비되었습니다. 외에 더 필요한 것이 있습니까?(×)
   ウ.종이와 연필이 준비되었습니다. 이것 외에 더 필요한 것이 있습니까?(○)
    (紙と鉛筆が準備されています。これのほかにもっと必要なものはありますか。)

(2)ア.몇 끼를 굶었더니 먹을 것 이외에는 보이지 않는다. (○)
    (何食か食いはぐれたせいで、食べ物以外には目に入らない。)
   イ.몇 끼를 굶었더니 먹을 것 외에는 보이지 않는다. (○)
    (何食か食いはぐれたせいで、食べ物のほかには目に入らない。)
   ウ.몇 끼를 굶었더니 먹을 것 이것 외에는 보이지 않는다. (×)

【注1】  これは指示代名詞ではなくて,指示形容詞であると思われる。(油谷)
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キーワード:正しい綴り字,序数詞の書き方,네째넷째

Q:(第12巻第2号:2002年夏)"열네째 줄에 있는 분들은 모두 일어서 주시기 바랍니다."(十四列目にいる方は全員お立ちください。)で、"열네째 줄"が正しいですか。"열넷째 줄"が正しいですか。
A: "열넷째 줄"が正しいです。
 「標準語規定」第6項を見れば、従来意味によって "둘째/두째"(二番目),"셋째/세째"(三番目),"넷째/네째"(四番目)のように区分していたものを "둘째, 셋째, 넷째" の一種類の形態だけを標準語と定めるとしました。これは、それまで用法に違いがあると規定してきたものの中で、その区別が難しく、混乱を生じていたものを一種類に整理したものです。従って、"두째,세째,네째" のような標記は、どのような場合でも用いません。
 但し、"둘째" は、十単位以上の序数字に使われるときには、"두째" とするという条項が付け加えられています。これは、"둘째" の前に、他の数字が来るときには、パッチム "" が明らかに脱落するという言語の現実をそのまま反映したもので、"열두째, 스물두째, 서른두째, 마흔두째 …" と書きます。
 "열넷째 줄" は、"열두째" のように、別に規定された内容がないため、そのまま "열넷째 줄" と書けば良いです。"열한째,열두째,열셋째,열넷째…"が、正しい標記です。

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キーワード:音価の変遷,訓民正音, の発音

Q:(第12巻第2号:2002年夏)「訓民正音」によれば、"世" となっています。それでは、昔は今日と異なり、"世宗"を[솅종]と読んだのですか。
A: 違います。「訓民正音」に出てくる "솅종" は、[셰종]と読みます。
 「訓民正音」を制定した当時は、"ㅇ" と "ㆁ,(옛이응)"(古イウン)はそれぞれ異なる音声を表す文字でした。"ㅇ" は、初声の文字として用いられるときは、その用いられた環境によって、どんな音声も発音しなかったり、喉から出す有声音([])を表わしていました。しかし、終声(パッチム)の文字として使われるときは、どんな音声も表わしていませんでした。このように、どんな音声をも表わさない "ㅇ" を終声の文字として用いたのは、「訓民正音」を制定する際に、漢字音を標記するときには、初声、中声、終声の文字をすべて備えて標記することを原則としたためです。終声がある場合は問題になりませんが、終声がない場合には形式を整えるため、音価がない終声文字 "ㅇ" を付け加えたのです。そのような理由で "" の下に音価がない "ㅇ" を置いて標記したのです。これは、固有語である "나랏말"(国語)を "낭랏말" と書かないことと比較されます。その反面、"ㆁ(옛이응)"は、初声であろうと、終声であろうと関係なく、常に軟口蓋から出る有声音([])を表わしました。
【注2】
 ところで、今日では "" は、その文字が消滅し "ㅇ" だけが残っており、この "ㅇ" が、初声の文字として用いられるときは、どんな音声も表わさず、終声の文字として用いられたときは、軟口蓋から出る有声音([])を表わすようになりました。【注2】 それで、昔の文字の音価と標記法を良く知らない現代人には、"솅종" の "ㅇ" がパッチム(終声)として用いられたため、当然[솅종]と読まなければならないと思ってしまうのです。
 しかし、上で説明したように"世宗"の漢字音を標記した "솅종" でパッチム(終声)として用いられた "ㅇ" は、どんな音声も表わさないので[셰종]と読まなければなりません。

【注2】  軟口蓋の有声音には[g]も存在するので,より正確には軟口蓋の「鼻音」と書くべきであろう。(油谷)
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キーワード:正しい綴り字,パッチムの省略可否について,놓아 か,노라니까놓으라니까

Q:(第12巻第2号:2002年夏)"이 손 ! 이 손 노라니까!"(この手を放せ! この手を放せってのに!)というときに、下線部の ""  と "노라니까" は、"놓아, 놓으라니까" と書かなければならないのではないでしょうか。
A: "이 손 ! 이 손 놓으라니까!"が正しいです。"" は "놓아" が短縮された言葉です。「韓国綴り字法」第35項を見れば "놓다" に "" で始まる語尾の "-아, -아서, -아라, -았다" 等が連結されれば、"" と縮約して書くことができることが分かります。

(1)놓다: 놓-아(→놔), 놓-아서(→놔서), 놓-아라(→놔라), 놓-았다(→놨다)

 従って、"이 손 놔!" の "" は "놓아" が縮約した言葉なので,正しい標記であることが分かります。しかし、"이 손 노라니까!" の "노라니까" は正しくありません。"놓으라니까" は "노라니까" に縮約して書くことができる言葉ではないからです。
 このような点は、"" のパッチムがある "낳다"(生む),"좋다"(良い)を見れば分かります。

(2)좋다: 좋-아(→×좌), 좋-아서(→×좌서), 좋-았다(→×좠다), 좋-은(→×존)
(3)낳다: 낳-아(→×나), 낳-아서(→×나서), 낳-았다(→×났다), 낳-은(→×난)

 (2)と(3)を見れば、"놓-" に "" で始まる語尾が連結した場合を除外しては、パッチム "" が縮約されないことが分かります。従って、"노라니까" は "놓으라니까" と書かなければなりません。下のような場合も間違って書くことが多いので注意しなければなりません。

(4)동생이 갖다 논 과자.(×)→ 동생이 갖다 놓은 과자.(○)
   (弟が持って行っておいた菓子)

 (会話において)"갖다 놓은" を縮約して "갖다 논" と言うことはありますが、 "좋은" が "" と、縮約されず、"낳은" が "" と縮約しないように、"갖다 놓은" もまた、"갖다 논" と書いてはなりません。

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キーワード:単語の使い分け,세일인하 の違い

Q:(第12巻第2号:2002年夏) 百貨店に行けば、"가격 세일"(価格セール)と "가격 인하"(価格引下げ)という言葉をどちらも見ることができますが、"세일"(セール)と "인하"(引下げ)は同じ言葉ですか。そうでなければ違う言葉でしょうか。
A: "가격 세일"(価格セール)と "가격 인하"(価格引下げ)に用いられる ”세일” と ”인하” はそれぞれ次のような意味があります。

 세일(セール):割引し、販売すること。「バーゲンセール」(싸게 팔기, 할인 판매,という語に醇化)の略語。
  (例)봄맞이 세일,세일 기간에 산 물건을 환불은 안 됩니다.
    (新春セール,セール期間に買った物は払い戻しいたしません。)
 인하(引下げ):価格の類を下げること。「値段引き下げ」(값 내림, 내림という語に醇化)
  (例)공공 요금의 인하, 휘발유 가격 인하로 자동차 판매량이 늘고 있다.
    (公共料金引下げ、ガソリン価格引下げで自動車販売量が増えている。)

 "세일"(セール)と"인하"(引下げ)の意味を比較してみると、"세일" は、「一定した価格からいくらからを引いて販売すること」で "인하" は、「価格の類を下げること」です。このように辞典の意味からは大きな違いはないようですが、"세일" は一定期間の間だけ、本来の価格から一定の金額を引いてやるという意味があり、"가격 인하" は、生産原価減少等のさまざまな理由で、その物の価格を引き下げるという意味があります。即ち、生産技術の発達で生産原価が減少するときには "가격 인하" という言葉を用い、季節が変わってから残った物を一定期間に処分するときは、"세일" という言葉を使うと言うことができます。
 もちろん、"가격 인하" が値段を引き下げる意味であるため、セール期間にも用いることができます。しかし、"공공 요금의 인하, 휘발유 가격 인하" のような場合は、"세일" を使うことは、不自然です。公共料金やガソリン価格の場合は販売促進のため一定期間だけ価格を安く提供できるものではないからです。このような例を見れば、"가격 세일" と "가격 인하" の違いを明確に理解することができます。

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