【カナタ電話第1巻第2号】

キーワード:왠지웬지

Q:(第1巻第2号:1991年夏)“○○ 胸がどきどきする”という時、‘왠지’と書かねばならないのか、あるいは‘웬지’と書かなければならないのか,どちらが正しいのかわかりません。
A:’と‘’は発音上の区別が難しくなったために,多くの人が混同している問題です。結論から申し上げると,‘왠지’と書くのが正しいのです。‘왠지’は疑問詞の‘’と語尾の‘(이)ㄴ지’と分析でき、‘누군지, 무엇인지, 어딘지…’といった言葉と同じ構造です。ご質問の文は胸がどきどきする理由がわからないことを表す疑問詞‘’が必要な場合なので‘웬지’ではなく‘왠지’を使わなければならないことがわかると思います。
 これとは別に‘’ではなく‘’を使わなければならない場合があります。‘○ 일이니?, ○ 떡이지?’のような文では‘’を使えません。ここでは理由を尋ねるというよりも「一体どうなったのか、どんな形の餅なのか」と尋ねているので「どのような」という意味を持つ冠形詞‘’を使わなければならないのです。また韓国語では‘疑問詞+(이)ㄴ+名詞’の構造はほとんど使われません。従って後ろに名詞や名詞句がきたら、‘’を使えばよいと判断できます。ですから、‘○ 人相の悪い人が私を追って来たよ’でも‘’を使わなければなりません。
 
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キーワード:회집횟집 か, 사이ㅅ 1

Q:(第1巻第2号:1991年夏)‘회집’と書かねばならないのか、あるいは‘횟집’と書かなければならないのか,判断できません。どう書くべきでしょうか。
A:サイシオッを加えるべきか否かは具体的な例になると非常に難しいものです。ある新聞では‘수도물’と書き、またある新聞では‘수돗물’と書いたりしている理由がここにあります。
 サイシオッに対してはハングル正書法第30項に規定されています。ここではサイシオッを書かなければならない場合を大きく3つに分けて解説しています。 @固有語からなる合成語で前の語が母音で終わる場合,A固有語と漢字語からなる合成語で前の語が母音で終わる場合,B2つの音節からなる次の漢字語の3つの場合が正にそれです。従って、漢字語と漢字語からなる構造は合成語であったとしてもこの30項に挙げられている6個でないならばサイシオッは使うことが出来ません。固有語がひとつでも入っている構造は,先の2つの場合を見ると、前の語が母音で終わる合成語であって初めてサイシオッを使えるということがわかります。しかしこのような条件を備えていても常にの場合にサイシオッが使えるわけではありません。30項では(1)後続語の初声が濃音になるもの、(2)後続語の初声‘ㄴ, ㅁ’の前で‘’の音が追加されるもの、(3)後続語の初声母音の前に‘ㄴㄴ’の音が重ねて出るものに制限しています。
 従って固有語が1つでも入っている構造は,後続語が濃音になったり二つの語の間にnが挿入されるかして,かつ先行語が母音で終わる合成語である場合に限ってサイシオッを使うことができるのです。私たちが文章を書くとき、サイシオッに対して躊躇したり、また物を良く知っている人に尋ねてみたとき、誰もが即座にすっきりした答えを与えてくれないこのは、まさにこの‘合成語’の性格が問題となるためです。合成語とは統辞的構造、言い換えれば句でははない一つに固まった単語を意味します。理論的に句と単語を区別する基準があるにはありますが、実際に句と単語を明確に区別するのはさほど容易ではありません。サイシオッと関連して,名詞と名詞からなる構造が、句であるのか単語であるのかを区別するのは更に困難です。
 従ってここでは、今までの研究から句と単語を区別できる基準として議論されたものの中からいくつかを挙げてみたいと思います。
(1)前の名詞が後ろの名詞とは別に連体詞、連体形、名詞、名詞句の修飾を受ければ句である。
(2)前の名詞をほかの名詞と置き換えた場合、制限がなければ句であり、かなり制約を受ければ単語である。
(3)2つの名詞の間に別の要素が入ることができれば句である。
 ご質問の‘횟집’の場合はこのこうな基準を適応してみると句ではなく単語であり、サイシオッを書かなければならない別の条件を備えているので‘횟집’と綴るのが正しいと思います。
 
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キーワード:시누이 の夫の呼び方

Q:(第1巻第2号:1991年夏)시누이(夫の姉妹)の夫をなんと呼べばよいでしょうか
A:伝統的に妻の兄弟の妻と夫の姉妹の夫は礼儀上、顔を合わせることを避けていた間柄であったために実際に面と向かって話すことはなく、仮に顔をあわせたとしても挨拶を交わす程度にすぎないので、呼び名が発達しなかったのです。しかし、現代社会では夫の姉妹の夫を呼ぶ機会があるので、呼び名が必要となってきました。苦し紛れに子供が使っている呼び方をそのまま使って‘고모부(姑母夫)’と呼ぶ人もいますが、望ましい呼び名ではありません。
 夫の姉の夫(以下「義兄」とする)を呼ぶ呼び名としては‘아주버님’と‘서방님’を、夫の妹の夫(以下「義弟」とする)を呼ぶ呼び名としては‘서방님’をお勧めします。‘아주버님’は現在多くの地方で義兄を呼ぶ呼び名として使われ、夫の兄を意味する言葉と同じなので、義兄の呼び名として無難です。‘서방님’は主にソウルを中心とする朝鮮半島中部地方で義兄・義弟に関わらず、‘남양주 서방님께서 오신답니다.’とか‘노 서방님께서 가셨습니다.’のように,主として指称語として使われていた言葉で、現在は‘운니동 서방님’,‘서방님’のように,呼び名としても使われています。
 
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キーワード:姉の夫の呼び方,매부, 매형, 자형

Q:(第1巻第2号:1991年夏)国語研究院の名前で朝鮮日報5月22日付に掲載された‘国語を正しく、美しく’を読んで質問いたします。姉の夫に対する呼び名に対して‘매부, 매형’を標準的な呼び名だと定めていますが、‘자형(姉兄)’が正しい言葉であって、‘매부’は夫の妹の夫を呼ぶ言葉だと思います。その理由は女性の兄弟を漢字で表記するとき、自分より年齢が高いほうを‘(姉)’、年齢が低いほうを‘(妹)’と書くという明らかな区別があるためです。
A:(姉)’は姉を、‘’は妹を意味する漢字です。従って、‘자형(姉兄)’は夫の姉の夫(以下では「義理の兄」)を‘매부(妹夫)’は夫の妹の夫(以下では「義理の弟」)を指し示しているという意見は合理的な主張のように思われます。
 現在、慶尚道と全羅道の一部では、姉の夫は‘姉兄’、妹の夫は‘妹夫’を使わなければならず、姉の夫を‘妹夫、妹兄’という呼ぶのは間違いであると指摘しています。しかしながら、ソウル、京畿、江原道と忠清道の一部では上下の区別なく姉の夫も妹の夫も‘매부’と呼び、姉の夫を呼ぶ言葉として‘매형’も使います。若年層では‘자형’も次第に勢力を広げています。
 朝鮮総督府編(1920)の‘朝鮮語辞典’と文世榮(1938)の‘朝鮮語辞典’には姉の夫を指し示す言葉として‘매부’と‘매형’が掲載されています。‘자형’が辞典に掲載されたのはこれ以後です。
 1)朝鮮語学会(1957),조선말큰사전(乙酉文化社)
   매부(妹夫):姉の夫や妹の夫を通称する言葉
   매형(妹兄):姉の夫
   인형(姻兄):매형=(妹兄)
   자형(姉兄):매형=(妹兄)
 2)李熙昇編(1961),국어대사전、民衆書林
   매부(妹夫):姉の夫と妹の夫の通称
   매형(妹兄):姉の夫
   인형(姻兄):매형
   자형(姉兄):姉の夫

 文学作品でも1910年代の新小説では姉の夫を呼ぶ呼び名として‘매부(妹夫)が使われており、‘자형(姉兄)’は最近の慶尚道、全羅道地方を舞台とした小説で使われています。
(以下の例文1)2)においては,原文のアレア「、」の表記を油谷の責任で現代式に改めました)
 1)매부라는 량반이 하도 지각이 업스닛가 그런 변이 업스리라 할슈도 업고 (이해조 1908, 빈상설 p.67)
 2)매부 의향에 엇더하신지요. (최찬식 1912, 추월색, p.32)
 3)김 사서장 댁하구 자네 집하구 어떻게 과갈간이지? ‘사서장 자제 중일이가 내 사촌 매부일세.’ (홍명희 1928, 임꺽정 Vol.4, p.56)
 4)기왕에 죽은 사람은 그렇고 자형도 생각은 고쳐야 할 겁니다. (박경리 1988, 토지 Vol.9,p.308)
 5)매형한테서 편지 자주 와요? (염재만, 1989, 당추동 사람들, p.204)

 今はあまり使われませんが、姉の夫を指す言葉として‘자부(姉夫)’も見られます。

中宗 元年(1506) 九月壬午
朴元宗 等 啓白 高安正内人姉夫 李希哲興C族親 趙勁興C父…(中宗大王實録 巻一:八)
 (朴元宗らが申し上げるには,高安正は内人の‘자부(姉夫)’、李希哲は興清の族親、趙勁は興清の父であり…)

 このように,現在使っている言葉と文献資料を土台として見た場合、姉の夫を呼ぶ言葉は漢字の意味と必ずしも対応して使われてはいないようです。‘매부’が以前から幅広く使われ、‘누이 좋고 매부 좋다.’という諺があるほどであり、‘자형’は南部地方で使う言葉として徐々に勢力を獲得しているようです。
 語法標準化の標準案は私たちが標準語を選定する作業と同じです。従って、一つのものに対して地域的な差異がある場合にはソウルで使う言葉を選んでいます。しかし、最終的に確定する前に問題点として指摘されるものに対しては、再び論議されるでしょう。
 
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キーワード:二人称代名詞,여러분, 당신, 그대

Q:(第1巻第2号:1991年夏)二人称を指す‘여러분’と‘당신’に対して質問したいと思います。1つは‘여러분’の‘여러’は‘数が多い’状態を意味するので、多数でない場合には‘여러분’を使うのは正しくないのではないでしょうか。2から4名程度の小人数と区別する言葉は何ですか? 2つ目、‘당신’はどのような場合に使うことので きる言葉ですか?
A:ご質問に対する私の意見は次のとおりです。
 最初に‘여러분’という言葉は少数を指し示す二人称の言葉として適切ではないとするので、これに代わる言葉を探してみたいと思います。
 まず、‘여러분’は国語辞典では名詞と一人称代名詞として載っていますが、文法書では代名詞とは扱えないものであるとされています。本来、名詞であるものを二人称代名詞的に使っていることがありえます。
 ‘여러분’を名詞として使う場合、‘여러’は状況によって7、8名程度を指すことがあります。予想よりも少ない人数で、4、5名である場合でも‘여러분’を使うことがあると考えられます。
 代名詞的な用法として使われる‘여러분’はより多くの人を指し示します(国民の皆さん、市民の皆さん、社員の皆さん、学生諸君など)。それなのに、係長が直属の社員たちを呼ぶとき、‘여러분’と呼びかけるといった、大多数を対象としない場合もあります。
 しかし用法上、‘여러분’は公的な、即ち、公式的な立場から話す場合が多く、私的な年下の人が目上の人に‘여러분’と話すことはありません。それゆえ代名詞としての‘여러분’はこの用法がよく制限されます。本来、韓国朝鮮語は二人称代名詞の敬称が発達していないので、相手の身分や地位を表す言葉を代名詞的に使うことが一般的です(先生たち、お父様方、おじさんたちなど)。このように‘代名詞’でなく、‘普通名詞’に‘’を結合させ、使うことも二人称複数を表現する一つの方法になっていますが、‘’という言葉は丁寧な言葉を傷つける傾向があります。
 2つ目の‘당신’がどのような場合に使われるかと言うことに対して御答えいたします。国語辞典からみる‘당신’の意味は次のとおりです。参考として二人称として使われる場合に限り、転記してみます。
(1) 貴殿。老兄。公。(朝鮮語辞典)
(2) 少し丁寧な言葉を使う階級で対等な立場にある人を称する言葉.(大辞典、中辞典,新ハングル辞典、国語大辞典、新ウリマル大辞典)
(3) 夫婦が互いに相手を称する言葉(国語大辞典)
 ‘당신’を‘그대(恋人が相手を呼ぶ呼び方、あなた)、貴殿’と同じ二人称の敬称として文法書によく掲載していますが、二人称代名詞としての‘당신’を目上の人(必ず自分より目上の人を敬う意味として)使うことはできません。
 三人称の場合、再帰的な用法として個人的な関係にある目上の人に対して使うことが出来ます。
 
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