【カナタ電話第12巻第3号】

キーワード:「어쨌든」、「어쨋든」、「어쨌던」、「어쨋던」のどれが正しいか

Q:(第12巻第3号:2002年秋) 書くたびに混同してしまう表記に「어쨌든」、「어쨋든」、「어쨌던」、「어쨋던」があります。覚えても、書くたびに混同してしまいます。どの表記が正しいのか、また、なぜそうなのか説明していただければ幸いです。
A: 「어쨌든」と書かなければなりません。「어찌하다」は活用する時「」が脱落するために 「어째(어찌해)」、「어쨌든(어찌하였든)」になります。「어쨌든」は「前の状況とは関係なく」という意味であり、「-든」を 「-던」と書くのは間違いです。「-던」の「-더-」は回想を表す言葉であり、過去のことを言う時にだけ使用できますが、「어쨌든」は過去のことを言うのではないため、「어쨌던」と書く理由がありません。
 「어쨌든」は[어짿뜬]と発音されるため、往々にして「어쨋든」と書かれがちですがこれは誤りです。この言葉は「어찌했든」がつづまった言葉だからです。これと同様の例に「게 섰거라」を「게 섯거라」と間違って書くことが挙げられます。「게 섰거라」も「게 서 있거라(そこに立っていろ)」がつづまった表現であるため、「게 섰거라」と書かなければなりません。
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キーワード:「엇갈리다」か「엇걸리다」か

Q:(第12巻第3号:2002年秋)「팔을 엇갈리게 마주 잡으세요」において、「엇갈리게」は自然な表現ですか?
A: 「엇갈리게」よりも「팔을 엇걸리게 마주 잡으세요」のように、「엇걸리게」を使った表現がより自然です。「腕や足などが互い違いに重ねて置かれたり、掛かる」ことを意味する言葉は「엇갈리다」ではなく「엇걸리다」だからです。
 「엇갈리다」は「正面から来る人や車などが、ある同地点で瞬間的に出会ってすれ違う」、「考えや主張などが一致しない」、「矛盾したさまざまなものが互いに重なったりすれ違う」、「互いに食い違い、合わせることができない」などの意味で使われます。

(1) ア. 내가 그와 엇갈린 곳이 바로 이곳이었다.
    私が彼と行き違ったのはまさにこの場所であった。
  イ. 동업자와 이해가 엇갈린다.
    同業者と利害が食い違う。
  ウ. 여러 생각이 엇갈려 무엇이 옳은지 결정하지 못하고 있었다.
    さまざまな考えが行き交って何が正しいのか決められずにいた。
  エ. 그와 나는 길이 엇갈려 만나지 못했다.
    彼と私は道を行き違って会えなかった。

 一方、「엇걸리다」は「엇걸다」の受身動詞であり、「엇걸리다」は「互いに向き合って掛かる」、「腕や足などが互い違いに重ねて置かれたり、掛かる」という意味で使われたり、「歌などの声が互いに一つになる」という意味で使われます。

(2) ア. 훈련병들의 총이 길가에 엇걸려 놓여 있다.
    訓練兵たちの銃が道端に重なり合って置かれている。
  イ. 팔을 엇걸리게 하여 옆 사람 손을 잡으세요.
    腕を交差させて隣の人の手をつかんでください。
  ウ. 굵직한 남자의 목소리가 가냘픈 여자의 목소리와 엇걸려서 들려 온다.
    太い男性の声がか細い女性の声と重なり合って聞こえてくる。

 よって「팔을 엇갈리게/엇걸리게 마주 잡으세요」においては、「腕や足などが互い違いに重ねて置かれたり、掛かる」という意味の言葉が来なければならないので、「엇갈리게」より「엇걸리게」を使うのが自然です。
 
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キーワード:「뭐하다」か「뭐 하다」か

Q:(第12巻第3号:2002年秋)辞書を見ると「뭐하다」という言葉が、「무엇하다」の縮約形であるとなっています。そうすると「뭐하고 있니?」と続けて書くのが正しいですか?
A: 違います。「뭐 하고 있니?」と分かち書きします。ご質問の文章の「뭐 하다」は、「무엇을 하다(あることをする)」から目的格助詞「」が省略されて「무엇」が「」につづまった言葉です。

(1) 무엇을 하고 있니? → (무엇 하고 있니?) → 뭐 하고 있니?
  お前何をしているんだ。

 一方で「뭐하다」は、形容詞「무엇하다」の縮約形であり、すっきりしない感じを適当に形容するのが難しいとか、それを表現する言葉が思いつかない時に暗示的に遠まわしに使う言葉です。主に「거북하다」、「곤란하다」、「난처하다」、「딱하다」、「미안하다」、「싫다」などの感じを表す時に使います。すなわち「무엇하다/뭐하다」の「무엇/뭐」は、知らない事実や事物を指し示す指示代名詞として使われているのではありません。「무엇하다」は「뭐하다」だけでなく「뭣하다」、「멋하다」とつづめて使うこともあります。

(2) ア. 저 사람은 만나기가 좀 뭐한 사람이다.
    彼は会うのがちょっとなんな人物だ。
  イ. 내가 가기가 좀 무엇해서(→뭐해서, 뭣해서, 멋해서) 그러는데 네가 다녀오너라.
    わしが行くのがちょっとなんなので言うのだが,お前が行ってこい。
  ウ. 정 하기 무엇하면(→뭐하면, 뭣하면, 멋하면) 그만두려무나.
    本当にやるのがなんだったら止めておきなさい。

 ところで、ご質問の「뭐 하다」は「무엇을 하고 있는지」を質問する文脈で使われたものなので、下の例のように、指示代名詞「무엇」と動詞「하다」が接続した構造であると見なければなりません。よって「뭐하다」のように続けて使ってはならず「뭐 하다」のように分かち書きしなければなりません。

(3) 저기 저 사람은 뭐 하는 사람이니?
  あそこのあの人は何をしてる人なの?

 
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キーワード:「끼어지다(껴지다)」か「끼여지다」か「끼워지다」か

Q:(第12巻第3号:2002年秋)「끼어지다(껴지다)」、「끼여지다」、「끼워지다」のうちどれが正しい表記なのか教えてください。
A: 三つの表記のどれも誤りではありません。
 「끼어지다(껴지다)」は「끼다」に「-어지다」が、「끼여지다」は「끼이다」に「-어지다」が、「끼워지다」は「끼우다」に「-어지다」が付いてできた言葉です。ここで「-어지다」は受身の意味を表します。
 「끼다」には「霧や煙などが拡がって立ち込める」という意味の「끼다1」、「끼이다」の縮約形である「끼다2」、「끼우다」の縮約形の「끼다3」などがあるため、「끼어지다」はこれら3つの動詞が受身形の意味を表す時に使われることができます。しかし「끼다1」は意味的に見て強いて受身の意味を表す必要がなく、「끼다2」も受身動詞である「끼이다」の縮約形であるため、「끼어지다」のような重複した受身表現を使う必要がありません。一方、「끼다3」は「끼우다」の縮約形であり「-어지다」を付けて受身の意味を表しても特に問題がありません。下の (1イ)と(2イ)のように、「끼다1」、「끼다2」に「-어지다」を付けて使えば不自然である半面、 (3イ)でのように「끼다3」には「-어지다」を付けて使っても自然です。

(1) ア. 하늘에 구름이 끼었다. (○)
    空に雲が立ち込めた。
  イ. 하늘에 구름이 끼어졌다. (×)
(2) ア. 책가방이 전철문에 끼었다. (○)
    カバンが電車のドアに挟まった。
  イ. 책가방이 전철문에 끼어졌다. (×)
(3) ア. 나는 문이 닫히지 않게 책가방을 전철문에 끼었다. (○)
    私はドアが閉まらないようにカバンを電車のドアに挟んだ。
  イ. 막 전철을 잡으려는 듯 그의 책가방은 전철문에 끼어졌다. (○)
    終電車を逃すまいとするかのように,彼のカバンは電車のドアに挟み込まれた。

 そして「끼이다」は「끼-」に受身接尾詞「-이-」を付けて作られた受身動詞であるため、これに更に受身の意味を表す「-어지다」をつけるのは望ましくありません。そうすれば不必要に受身の意味が反復されるからです。

(4) ア. 반지가 손가락에 잘 끼인다. (○)
    指輪が指にちゃんと嵌まる。
  イ. 반지가 손가락에 잘 끼여진다. (×)

 最後に「끼우다」は「끼다2」の使役動詞であると同時に「끼다3」の原語です。よって前の「끼다3」のように「끼우다」に「-어지다」を付けて使うのが自然です。

(5) ア. 나는 반지를 손가락에 끼웠다. (○)
    私は指輪を指に嵌めた。
  イ. 반지가 손가락에 끼워졌다. (○)
    指輪が指に嵌められた。

 結局、「끼다」、「끼이다」、「끼우다」などに「-어지다」が付いた形である「끼어지다(껴지다)」、「끼여지다」、「끼워지다」は、どれも正書法から外れた表現ではありませんが、「끼다1」、「끼다2」、「끼이다」などは、意味的に無理に「-어지다」を付けて使う必要がなく、「끼다3」と「끼우다」は文脈に合わせて「-어지다」を付けて使うことができます。
 
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