【カナタ電話第7巻第1号】

キーワード:相対敬語

Q:(第7巻第1号:1997年春) 私はある会社の部長です。取引先の課長や平社員に私の部下である課長の話をする時、「은행에 가셨습니다. 銀行へいらっしゃいました。」と言わなければならないと聞きました。これは正しいのですか? そしてもしも、取引先の部長へ部下の課長の話をするのであれば、この時はどのように表現するべきですか?
A:  一般的に目下の人に関して話す時は誰に話すのかに関係なく、−−を入れないで「김영희 씨, 김철수 씨 어디 갔어요? キム ヨンフィさん、キム チョルスさんは何処に行きましたか?」と話すのが原則です。しかし、目下の人をそれよりもっと目下の人に話すときは「김영희 씨, 김 과장 어디 가셨어요? キム ヨンフィさん、キム課長は何処へ行かれましたか?」のように−−を入れて話すことができます。このように話すのは、キム課長がたとえ自分よりは目下の人であっても、彼よりもっと目下の人に話す時は、話を聞く人,即ち聞き手より目上なので、その人を礼遇する意味で−−を含むことができるのです。
 同じように、自分より職級が低い取引先の人に自分の部下の課長に関して話す時も職級が相手より高いので「銀行へ行かれました」のように−−を入れて話さなければなりません。そしてもしも取引先の部長に課長に対する話をするならば、この時は聞き手よりこの対象(課長)の方が職位が低いので「은행에 갔습니다. 銀行へ行きました」と話さなければならないでしょう。
 
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キーワード:継母,庶母,계모, 서머

Q:(第7巻第1号:1997年春) 継母(계모)と庶母(서머)は違う言葉ですか?違う言葉ならばこの違いは何であるのか知りたいです。
A: 国語辞典を見ると‘계모 ’と‘서머 ’は次のように説明されています。
  계모 : 아버지의 후처, 의붓어머니, 후모 < 국어대사전, 민중, 1994 >
  継母:父の後妻。義理の母。後母。<国語大辞典、民衆、1994>
    =의붓어머니, 의붓어머니 : 아버지의 후실 < 우리말큰사전, 어문각, 1992 >
    =義理の母。義理の母:父の後室<ウリマル大辞典、語文閣、1992>

  서머 : 아버지의 첩< 국어대사전, 민중, 1994 >
  庶母:父の妾。<国語大辞典、民衆、1994>
    서머 : 아버지의 첩< 국어대사전, 민중, 1994 >
    父の妾。<ウリマル大辞典、語文閣、1992>

 国語辞典の説明見ただけでも、継母(계모)と庶母(서머)は違う言葉であることがわかります。‘継母’は(実)母が亡くなったりして新しく来た母を示すのですが、この時は正式に婚礼をする場合に限ります。そして‘庶母’は父の妾であり,格が非常に異なります。多くの方々が継母と庶母を区別できずに使用している場合が多いのですが、朝鮮時代にはこの区別がとても厳格でした。正式に婚礼を経た実母は적모(嫡母)と呼び、継母という言葉は嫡母が亡くなった時に、正式に婚礼を執り行った場合にのみ使われました。継母から産まれた子供を区別する表現はありませんが、庶母から産まれた子供を‘서자 庶子’または‘서출 庶出(妾腹)’と区別して呼ぶことも注意する必要があります。
 
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キーワード:標準語形,영글다

Q:(第7巻第1号:1997年春) 영글다 は正しくない言葉ですか?
A: ‘영글다’を辞典で調べてみると、方言として載っています。つまり標準語ではない、非標準語という意味です。もちろん方言はその地域の人達同士が使用する言葉として親近感を表現する機能を持っています。しかし私たちは国民の言語生活を円滑にするため、標準となる言葉、即ち標準語を定めて使用しているので、これに従わなければなりません。
 もちろん方言の中には一般大衆にあまねく広がり、標準語として昇格した例もあります。1988年に告示された標準語規定第3節方言を見ると、方言だった単語が標準語よりもっと広く使われるようになった場合と(23項)、方言だった単語が標準語よりもっと広く使われるにつれて標準語だった単語が使われなくなった場合は(24項)方言だった単語を標準語としてみなすという規定があります。この規定によって‘멍게(ホヤ)、물방개(ゲンゴロウ)、빈대떡생인손(手の先にできる腫れ物)、코주부(鼻の大きい人)’などの方言が標準語に昇格しました。
 ‘영글다’は正しくない言葉ではなく特定地域で使用されている方言であり,現在は標準語ではありません。それゆえ特に公的な席では‘영글다’のような非標準語は使用してはいけません。そのような面から見れば、‘영글다’は正しくない言葉だということもできるでしょう。‘영글다’の代わりに、これに該当する標準語として‘여물다’を使用されたら良いと思います。
 
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キーワード:トルコ湯,터키탕증기탕

Q:(第7巻第1号:1997年春) ‘터키탕 トルコ湯’は正しい言葉ですか?
A: ‘증기탕 蒸気湯’が正しいです。今日、韓国で「터키탕 トルコ湯」と呼んでいるものはトルコには存在しないものです。したがってトルコでは韓国で特定沐浴業を示す言葉としてトルコ国名を使用することに対して抗議を提起してきました。これに対して、韓国政府ではトルコ政府の抗議を正当なものとして受け入れ、 터키탕 증기탕 と代えて呼ぶことにしました。それゆえ、 터키탕 という言葉は正しい言葉ではないので、 증기탕 と代えて呼ばなければならないでしょう。
 
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キーワード:発泡スチロール,シスオペ,デュポン,스티로폼, 시솝, 셋톱박스

Q:(第7巻第1号:1997年春) ‘스티로폼/ 스티로폴, 시솝/ 시삽, 듀폰/ 뒤퐁, 셋톱박스/ 세트톱박스 のうち,どれが正しい外来語表記ですか?
A: ‘스티로폼’ が正しい外来語表記です。従来外来語表記用例集ではドイツ語 Styropor から来た言葉と見て‘스티로폴’が載っていました。しかし現実には‘스티로폼’ も広く使われています。また,口語では‘스치로폴’という形で使われていたりもします。要するに‘스티로폼/ 스티로폴/ 스치로폴’などを混ぜてつかっているものを一つに統一しなければならないわけですが、政府言論外来語審議共同委員会ではこの外来語が英語‘Styrofoam’から来たものと認識している大衆の傾向を反映して‘스티로폼’を標準とみなすと決定しました。したがって‘스티로폼’が正しいです。
 そして‘시솝’または‘시삽’は英語の‘system operator’から取ってきた言葉で,奨励に値する造語とは言いにくいです。それゆえ‘시솝’または‘시삽’に代えて‘運用者’という韓国語を使用することが望ましいでしょう。
 同様にアメリカの大企業の名前である‘Du Pont’は創業者の名前を取ったものです。‘Du Pont’はアメリカへ移住してきたフランス人‘Du Pont’が創業した会社であり、アメリカへ移住してきたときから既に長い時間が経っているので‘Du Pont’はアメリカ人と見なさなければならず、‘Du Pont’はアメリカで英語式に発音されています。したがって韓国語で外来語表記する時は‘Du Pont’を英語から来た言葉とみなして外来語表記法を適用しなければならないでしょう。ですから、フランス語発音による‘뒤퐁’ではない英語発音による‘듀폰’が正しいのです。徹底的に英語式発音に従おうとすれば‘듀폰트’になりますが、‘’を入れない慣用を考慮して‘듀폰’とします。
 そして英語‘settop box’から来た言葉の表記問題ですが、‘settop ’は外来語表記法を適用すると‘세트톱’にもなりうるし、‘셋톱’にもなりえます。すなわち、単独で使用できる言葉の合成語は、それを構成している言葉が単独で使われているときの表記通りに記すとするならば、‘세트톱’になりますが、合成語と見なさず短母音と流音・鼻音以外の子音の間に来る無声破裂音はパッチムとして記すという規定を適用すると ‘셋톱’になります。ところで、‘세트톱’は発音が‘셋톱’より発音しにくいため‘셋톱’を選り好みする傾向があります。政府言論外来語審議共同委員会は‘settop box’から来た言葉の表記を‘셋톱’と決定しました。したがって‘셋톱박스’が正しいです。
 
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キーワード:ハングル,訓民正音,創製原理

Q:(第7巻第1号:1997年春) 訓民正音の創製原理に対して説明してください。
A: まず‘訓民正音’は2種類の意味を持っています。一つは今日、私たちが‘ハングル’と改名したものを指し、もう一つは本の名前を示します。よく‘訓民正音解例本’と呼ばれるものがこれです。訓民正音に対する内容はこの解例本に詳細に示されています。
 この解例本は5種類の解説と1種類の実例からなっています。制字解・初声解・中声解・終声解・合字解・用字例がそれであり、一番最後は鄭麟趾の訓民正音解例序文からなっています。訓民正音の製字原理はこの中の制字解に出ています。
 ここで訓民正音の製字原理を考察すると,まず子音字の場合は発音器官の形を手本として基本の5文字(ㄱ, ㄴ, ㅁ, ㅅ, ㅇ)をつくり、残りの12の子音字はこれを基本字として字画を一つずつ加えて行く加画の方式を取っています。
 , ),→△),
 このように字画を加えて文字を作る根拠は、字画が多い文字の音がより激しい音であるという点であると解説していました。したがって‘’は‘’よりも激しい音であり、‘’は‘’より激しい音であり、‘’は‘’より激しい音です。この激しいという特性を字画を加えることによって示したというのです。しかしながら、‘’と‘△’だけはこのような根拠無しに字画を加えた例外的な文字であると説明しています。同様に‘’は牙音であるのに‘’と関連させて文字を作らず,喉音である‘’にへたをつけて作り,もう一つの例外的な文字になったのですが、これは‘’と‘’が音声的に類似していることを根拠としたと解説しています。
 一方、母音字は天(・)、地(−)、人(|)の姿を模して作った象形の原理によって基本3字を作り、残りの8つの母音時は(|)と(・)、(−)と(・)の結合によって作られました。したがって今日では‘ ㅏ, ㅑ, ㅓ ,ㅕ, ㅗ, ㅛ, ㅜ, ㅠ ’のように書かれている母音文字が、当時では‘’のような形でした。ここで‘・’が一つあるものは単母音であることを示し、‘・’が二つあるものは二重母音であることを示しています。この母音字も広く見れば加画の原理によって作られたと言うことができるかも知れませんが、これがもしも加画であったとすると、基本字の一つを加画の字画として用いた点が子音文字の場合とは違うと言えるでしょう。
 
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キーワード:変則の活用形

Q:(第7巻第1号:1997年春) 用言の語尾が変化する場合について質問します。語幹末の「」が「」に変化する場合,どんなときに「」を書き,どんな場合に「」を書くのか知りたいです。例えば基本形が「순조롭다」である場合は,「순조로와」が正しいですか,それとも「순조로워」が正しいですか。
A: 「순조로워」が正しいです。ハングル正書法第18項は,このような用言が語尾を変化させる場合についてその語幹や語尾が原則から逸脱する場合は逸脱するまま書くと規定しています。
 かつては母音調和の規則性に従って「ㅏ, ㅗ」についた「」の後に語尾「-아(았)」が結合するときには全て「와(왔)」と書きましたが,現行のハングル正書法では現実的な発音形態にしたがって,単音節語幹の後でのみ「」と書き,それ以外の場合は全て「」と書きます。ご質問の「순조롭다」も一般的な状況に該当するので,現実的な発音形態にしたがった「순조로워」が正しいです。
 
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キーワード:正しい漢字表記, 회고 の正しい漢字,傘寿・卒寿

Q:(第7巻第1号:1997年春) 小・中・高校卒業式の時行われる‘学校長 회고사 ’の漢字‘ 회고 ’は‘誨告’‘誨誥’、‘回顧’どれが正しいのですか? 定年退職やリストラの時によく‘頌功’を使っていますが、雨田 辛鎬烈先生は‘慰 致仕’が更に正確な表現であるとおっしゃいました。そして‘喜寿’‘米寿’‘白寿’と同じように80歳を‘傘寿’、90歳を‘卒寿’という人もいます。これら漢字の正しい使い方を知りたいです。
A: お問い合わせの‘誨告’や‘誨誥’は第一に、字典や語彙集・詩文集などの文献でその根拠を探すことができません。第二に、学校長が話す‘ 회고사 ’の内容には一般的な教えを盛り込んだ平素の訓辞とは異なり、過ぎ去った学校生活を振り返って卒業生達への新しい教訓を与えようとする意図が込められています。したがって、‘ 회고 ’の漢字は‘回顧’が正しいと判断されます。
 ‘慰 致仕’には、王から賜る官職を年を取ったという理由で辞退することを周囲の知人たちが慰労する意味があります。現代の定年退職にもこの言葉を援用することができると思います。ただし、‘致仕’という用語はやはり大げさな感じを与えるのではないかと思います。定年退任する方へ‘おめでとうございます’というあいさつも広く使われる現実からみて、‘頌功’が現代的な退職制度により相応しい言葉であると判断されます。
 77歳を‘喜寿’と言ったり、88歳を‘米寿’、99歳を‘白寿’と言うのは典拠がはっきりしています。しかし80歳を‘傘寿’と言ったり、90歳を‘卒寿’と言うことは典拠を探すことができません。少し強引に作って使っている言葉ではないかというのが一般的な見解であるようです。
 
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